2008年5月2日金曜日

バブル経済は繰り返される

バブル経済は、実体経済の経済成長以上に資産価格が上昇しつつある状態の中で、非常に多くの人々の所謂マネー・ゲームで呼び込まれた投機活動によって支えられたもので、いずれは一気にバブルのように弾けるものであると知られています。 1980年代の後半に日本で弾けた土地バブルに、その後の失われた10年と呼ばれるリセッションを通じて人々はもう懲り懲りの経験をした筈です。
所が、資本主義社会では先輩格のアメリカにおいて、昨年来サブプライム・ローンの破綻に端を発した金融市場の混乱は、正に日本に於いて経験したバブル経済の成行きと全く同種のものであることは明々白々です。住宅市場を刺激する為のマネー・ゲームがリスクの高いローンの証券化によってその害毒が世界中に撒き散らされたわけです。米国下院議会が世論の反対によって一度は「緊急経済安定化法案」を否決した流れは、かつて日本の圧倒的な世論の反対によって「住専やメガ・バンクへの公的支援」が難航した経緯と全く同じです。
この金融危機と一見無関係に思われる地球環境悪化を食い止める為の防止策として昨今喧伝されている「CO2排出権取引」も一連のマネー・ゲームの様相を呈していると思われてなりません。排出権という架空の権利を設定して、それを単なるマネー・ゲームの市場を作り出すことによって実体経済の動きを歪め、全く実際の排出量の抑制に繋がらないと思われるからです。
人間の金融を通しての愚かな経済活動は何故このように繰り返されるのでしょうか?

2008年1月19日土曜日

新自由主義の行く末

昨年(2007年)夏の米国サブプライム・ローン破綻に始まり、最近の世界金融危機の流れのなかで、新自由主義を標榜する資本主義社会の行き詰まりが米国大統領選挙でアフリカ系候補者の勝利をもたらすという未曾有の社会変革のうねりをを巻き起こしています。 そもそも新自由主義は”全てを市場の動きにゆだねて、政府はそれに介入すべきではない”という市場原理主義を掲げ1981年に就任就任した米国レーガン大統領に始まり、英国サッチャー政権、そして最近8年のブッシュ政権に引き継がれ、日本では小泉政権でのバック・ボーン理論でもありました。これらの政権では、規制緩和や構造改革を進めると同時に、伝統的な家族や地域、学校、企業というような共同体の再建を主張し、強い国家を標榜して、国民を統合させるという意識がありました。
しかしながら、この新自由主義の立場は別の見地からするとトリックルダウン理論(Trickle Down Theory)という”金持ちや企業が富めれば、そこからしたたり落ちる富で社会全体が潤うという”考え方に立脚している為に、最近では米国内でも貧富の格差を生み出した元凶の考え方であるとの批判も起きています。
さりとて、この対極にある福祉国家型分配社会に向かうには最近の国家の財政は余りにも逼迫しています。来年1月20日から発足する新オバマ政権はこのような難局にどう対処していくのでしょうか?